今日は塀の検討について教えて欲しい!
できたらある程度計算まで解説してくれると嬉しい!
今回は、塀の両側でレベル差が生じない場合について考えてみよう!
下の例で考えてみよう!
塀に作用する力ってなにがあると思う?
地震力と風かな
そーだね
じゃ、まず風について検討してみよう!
風の力=風圧力だから
風圧力=速度圧*風力係数って公式から求めるよ。
速度圧(q)=0.6*E*Vo^2
E=Er^2 * Gf に必要な情報を入力すれば求められる
係数ばっかりで混乱するな
ネットで調べればすぐわかると思うよ
対象建物の軒高、屋根形状、地表粗度区分、基準風速から
求められる。
それらを入力して速度圧(q)が求まったら
今度は風力係数を求める。
基本的には1.2で考えておけばいいと思う
どーして?
下の二次部材の風圧力の検討結果でも
風力係数(Cf)は0.8と1.00の二つで検討しているよ。
1.2じゃないけど・・・・
下の計算結果は、ある独立した壁
例えば逆T字型の独立壁に風が働いた時の風力係数と考えたらいいと思う。
建物全体に働く風圧力は、別の計算ソフト(=一体となった建物用の構造ソフト)で
求めることができる。建物用の風圧力は1.2になっている。
ん?
なんでそもそもこの下のソフト(独立壁)では
0.8と1.00で計算しているの?
詳しいことは勉強不足で分からないんだけど・・
黄色本という構造関係の本に係数の取り方で0.80と1.00で計算を行い、
安全な結果となるよう明記があるんだ。
1.2については過去の記事を参考にしてね!
https://kozo-okinawa.com/風圧力
今回の塀は独立した壁なので本当は
0.8か1.00で検討すればいいと思うけど
安全側に建物と同じ1.20で検討してみるよ
風圧力は1.516*1.2=1.819 kN/㎡ってことだね!
次は地震力か!
どうやって求めればいい?
そーだな
地震力のイメージってある?
建物に地震っていう水平力がかかるから・・
建物の重量にたぶん地震の係数とかをかけて求めるんじゃないかな?
そうそう、そんな感じだよ!
今回は「塀」の重量に地震の係数などを乗じて値を求めるよ。
地域係数=0.7~1.0
各地域に応じて決められた係数
水平震度=水平力の係数
0.2~1.0
塀の重量
水平震度は1以下ってことは低減係数ってことだよね!
建物にかかる場合は、標準せん断力係数0.2って試験勉強で覚えているけど・・・
標準せん断力係数は
大地震時を1として考えているから
それより小さい地震(中規模の地震など)では低減して0.2を採用しているよ
まぁ、水平震度=標準せん断力係数っていうイメージでいいと思う
なるほど
だから、水平震度は0.2~1.0なのか!
建物が0.2だけど
今回のような塀の場合はどの値に決めたらいんだろう?
工作物は0.5Z以上
2mを超えるバルコニーなどは1.0Z以上
って決められているよ!
おっけい!
地震力は
0.5*0.7*4.21=1.47kN/㎡ってことだ。
風圧力が1.819だから
値の大きい風圧力の方で検討したらいいんだよね?
その通り!
「風圧力」が外力として塀に働くことは分かった。
この風圧力が塀を転倒させようとするから
「転倒モーメント」ってことになる。
そして、塀は倒れないように「抵抗モーメント」という要素で抵抗するんだ。
つまり、転倒Mが抵抗Mより大きいと、もちろん倒れてしまう。
もしそうなる場合は、基礎の大きさなんかを調整しないといけないよ!
まず、転倒Mを求めよう!
転倒Mは「重量」×「作用点からの距離」になる。
Mは幅1mあたりの荷重で比較した方が便利。
荷重は
風圧力が幅1mの塀に与える力を考えると・・・
風圧力×塀の面積(幅*高さ)
風圧力×(幅1m*塀の高さ)
=1.819*1.0*2.22=4.04KNってことになる!
距離は
風圧力が塀の中心にかかるものとして
高さの半分 + 根入れ深さ =1.11+0.58=1.69mってことになる
よって転倒M=4.04*1.69=6.83kNmになる
おっけい
次は抵抗Mの説明をお願いします
イラストでも分かるように
風圧力の作用点が「A点」になる。
抵抗Mは「重量」×「作用点からの距離」になる。
これは分かるよね?
今回、塀はL型なので、重量は底板、立上り壁、土の重量の3つになる
それぞれを求めて、作用点までの距離をかけたのが下のイラストだよ。
Σ抵抗M=0.88+2.51+4.28=7.67KN
よって、抵抗Mの方が大きいから安定していると分かる。
もし、これで転倒Mの方が大きい場合はどうしたらいいと思う?
抵抗Mを大きくしたいから
重量か作用点までの距離を大きくすればいいんだよね?
現場の状況にもよると思うけど・・・・
根入れを深くすると、風圧力も大きくなってしまうから
根入れはそのままで、
底板N2を大きくするかな。
それでもダメならN3の土をコンクリートに置き換えて
重量を大きくするかも
そうそう、そんな感じ。
敷地のレベル関係が分かれば
意匠屋でも塀の検討ができると思うから
やってみて!
おっけい!
今日もありがとー
👇にエクセルファイル置いとくねー
コメント