今回は耐震等級について振り返りたいと思うよ
フラット35とかで融資を受けるときに必要になるんだけど
この基準の中に「耐震等級」っていうのがある。
耐震等級を取るために構造屋はどんな確認をしているか教えて欲しい。
「日本住宅性能表示基準・評価方法基準技術解説」という本を参考にすると
例えば「耐震等級2」を取得する場合、構造躯体の倒壊防止を構造計算によって確認することが求められているよ。
その構造計算の確認方法にもいろいろあるんだ。
↓計算方法の一例
限界耐力計算による場合
保有水平耐力計算等
+他にもたくさん
自分も最初、勘違いしていて
限界耐力計算じゃないとダメだと勘違いしていたんだ。
限界耐力計算だとどうなるの?
限界耐力計算だと標準せん断力係数を1.0で計算しないといけない。
耐震等級2を取得する場合は、これにさらに1.25倍するので1.0*1.25=
「1.25」という数値になるよ。
従来の許容応力度計算のせん断力係数は「0.2」なので 6.25倍の地震力で構造計算を行うことになる。
え・・6.25倍ってかなりきびしい
そーなんだ。
そんなに厳しいのかって思っていろいろ問い合わせをしたら
上記の技術解説本を教えてもらったので購入して内容を確認したんだ。
そしたら、他の計算方法も紹介されていたんだ。
保有水平耐力計算「等」には、ルート1やルート2の計算も含まれていて
層せん断力係数はそのまま0.2で、他の項目を別途確認することが書かれていたんだ。
別途確認する内容ってどういうこと?
2020年、技術解説本のP99、表1-5には
RC等のルート1では
①平19国土交通省告示593号(壁と柱の断面積の関係式)の右式に等級に応じた倍率を乗じて確認すること
②部材のせん断耐力の余裕度の検討時の地震力に等級に応じた倍率を乗じて確認すること
とある。
それぞれどーいうこと?
①の式とは
Σ2.5αAw +Σ0.7αAc ≧ ZWAi のことで
α=コンクリの設計規準強度による割増し係数
Aw=耐力壁の断面積
Ac=柱の断面積
Z=地震地域係数
Ai=高さ方向の分布係数
この右式に耐震等級に応じた倍率を乗じて左式を満足しているかを確認したらいいよ!
↓構造計算書で確認すべき項目↓
これ見るとAcがないけどどーして?
WRCの場合、壁はあるけどRCのような柱はないよ。
だから、Awだけの表記になっているよ。
あと、耐力壁がたくさんあるので1.25倍しても
十分な余裕があるのが分かる。
例)X方向 968.5*1.25=1210.625OK!
8567.4 > 1210.625 OK!
②は、地震力を耐震等級に応じた割増しを行う。
具体的には計算書の「用途係数(=割増し係数)」が耐震等級に応じた割増しになっているか確認したらいいよ。
↓構造計算書で確認すべき項目↓
用途係数が1.0が1.25になっていて、Qも大きくなっている。
Q(地震力)が大きくなっているから検討漏れはなさそうだ。
ちなみに、RCの住宅の場合でも同じように考えればいいの?
WRCの場合、耐震等級2くらいなら平面を修正することはほとんどない。
でも、RCの場合は梁せいが大きくなったりするよ。
なんでか分かる?
せん断力を負担する部材が多いか少ないかで変わってくるのかな?
WRCはせん断力を負担できる壁がたくさんあるけど
RCはせん断力を負担できるのは柱だけなのが原因?
そそ。
WRCはたくさんの壁でせん断力を負担できるので地震力が1.25倍になっても影響はすくない。
でも、逆に言えばWRCで壁少ない間取りで、耐震等級2以上を取得したい場合は
もしかしたら梁成や梁幅を変更しないといけなくなるかもしれないよ。 以上
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