以前、構造屋さんに計算を依頼したら想定していた壁厚以上の寸法が必要って言われて変更したんだけど・・壁厚ってどうやって決まっているのかな?
友人の構造屋さんに聞いてみよう!
お!また相談だ。
今回は「壁厚はどうやってきまっているか」だね
おおざっぱに言うと壁厚は「階高/係数」によってきまっているよ!
自分でも壁厚の確認ができるようにしたいし、
何より手戻りをなくしたいから詳しく教えてほしい!
わかったよ!
「階高」って言ったけど正しくは「構造耐力上主要な鉛直支点間距離」のこと
「係数」は平屋の場合は25 その他の場合は22になるよ
う~ん 鉛直支点間距離っていうのはどの部分をいうの?
こんな感じだよ!👇
お~、こういう感じね!
平屋の場合、具体的にどうなるか計算してみよう!
今のプランだと、土間も屋根スラブも t=150mmで考えているから
鉛直支点間距離は「3.3m」になって
平屋の係数25を使うと・・・3300mm/25=132mm
つまり132mm以上の壁厚なら規定を満足するわけだ!
そうそう!そんな感じだよ!
ちなみに「規定」には、最低限のルールをまとめた建築基準法の規定と
詳しい専門家の人たちが議論を重ねて建築基準法の規定を厳しくした規定の二種類があるんだ。
前者を「建築基準法や告示」
後者を日本建築学会が発刊している「計算基準」というよ!
今回は最低基準の「建築基準法や告示」を基に教えていくね!
なるほどねー!
階高が高い建物ほど必要となる壁厚は太くなるんだね。
勉強になったよ!
逆に壁厚は150に揃えたいから逆算すると・・・
鉛直支点間距離hs/25<150って考えると
hs=3750mmになる。
つまり、3.75mまでは計画可能ってことだね!
おっと!ほしい!
逆算するのはいいんだけど、階高にも規定があって
WRC(壁式鉄筋コンクリ)の場合は3.5m以下にしないといけないよ!
そーなんだ!
でも・・この前、建物の一部分が3.5mを超えている建物をみたよ!
あれはどういうことなの?
建築基準法では原則3.5m以下としているけど
3.5mを超える場合は「保有水平耐力の検討」が必要になるよ。
ただし、「建物のごく一部分」または「平屋建築物」に限っては
保有水平耐力などの特別な検討を行わなくてもいいんだ!
そういうことだったのか!
3.5m超える場合・・保有水平耐力の検討を行うと構造計算の金額が高くなるから
なるべく平屋、建物ごく一部分でプランをまとめたいなぁ
でもさ、建物のごく一部分ってあいまいな表現だけど・・
具体的にはどうなの?数値とかあるの?
これは正直、各検査機関によって判断があいまいなんだ。
同じ県でも、県の出先機関では建築面積の1/8以下と求められたり
民間の検査機関ではその都度調整だったりとなっているよ
なるほどー
じゃ、3.5mを超える場合は、事前に検査機関に問い合わせてみて打合せが必要だ
もしくは、付き合いのある構造事務所に聞いてみるといいかもね!
なんとなくだけど、県の出先機関の方が厳しいような気がするよ
さとうくん、「片勾配屋根の壁厚」はどうなるの?
建築基準法では、低い方でOK!
建築学会の規定では、高い方と低い方の平均となっているよ!
建築学会の規定は、建築基準法を補完するようなものだからより厳しいんだ!
学会の規定を採用するかは、任意だから設計者判断になるよ!
(実際、意匠の自由度が低くなるから、学会基準を採用することはあまりないかも)
2024年12月5日 補足
壁厚を定める際のH(構造耐力上の鉛直支点間距離)だけど、勤務先では、1階部分に関しては、地中梁天端から2階スラブ中心を採用しているよ。
え?どうして?
土間の中心から2階スラブ中心じゃないの?
構造耐力上の鉛直支点間距離とは、外力などに対して支点として効き目がある位置になる。
では、土間が有効かと言うと微妙だ。
審査側の担当者によっては、「土間は構造体ではないので算定距離からは除くように」と指摘を受けることもあった。
かと言って土間を完全に無視するのも過剰ということで、起点を土間中心と地中梁中心の間をとって、地中梁天端としている。
上記 引用:日本建築センター編集 壁式鉄筋コンクリート造設計施工指針
h1は審査側によっては指摘をうける
h2は間違いなくOkとなるが、壁厚が大きくなってしまう
h3が実務上の妥当な寸法だよ。
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