構造計画 その8 梁のねじれについて

下の絵で赤枠部分(Y3通りX4~X7間)の

梁部材について教えて欲しいんだ。

構造図を見るとハイルーフの梁が断面が大きくて

下のRG梁は断面が小さいんだけど、どういう計算で
そうなっているの?

WB梁は両端に壁やスラブが接続していないから

固定度が低い=ピン支点とするんだね。

WB梁の検討では両端をピンとして計算すればいいんだ!?

その通り!

でも、今回WB梁が接続するスラブが「3辺固定スラブ」という条件で計算を

行うので「ねじれが追加」されるよ。

ハイルーフのWB梁は、接続するスラブの曲げが大きいため

端部曲げを抑えるために断面が大きくなっているよ。

RG梁は曲げが小さいからそのまま幅150mmでもOK

スラブの曲げ?

端部曲げ?ってなに

まず、ハイルーフのスラブの検討を行うよ。

スラブの接続条件を固定度が高い条件 「剛」で検討する

今回、スラブ面積が大きいため、端部曲げが大きくなるんだ。

上の絵のように赤線部分で切断した場合わかるように

梁の固定度によって、梁が受け持つ曲げモーメントがことなってくるんだ

大学とか資格勉強で習っているなら分かると思うけど

スラブと梁の接続条件が「剛」ならスラブの曲げが梁にも伝わるので

端部で曲げが上の方に飛び出る形になっているよ。

一方、スラブと梁の接続条件が「ピン」の場合は、曲げの力が伝わらないので

端部で曲げがゼロになる形になっているよ。

共通点は「M1とM2は同じ大きさ」っていうことだよ

ピンは、剛の時の曲げモーメント図を下にそのままスライドしたものなんだ!

開口部があるハイルーフの梁WBを幅150mmで納めるにはどうしたらいいの?

それはWB梁に曲げが生じないように「ピン支点」としてスラブを検討すればいいよ。

ふつうは、スラブの周囲に梁や壁があって、四方向をがっちり固められている(=剛)なので「4辺固定」という条件で検討する。

WB梁をスラブを固定するため「剛」の部材として設計してしまうと

スラブが「剛」で計算されるので、端部に曲げが出てくる。

この曲げをWB梁が負担するためには、ダブル配筋として抵抗させる必要がある。

だけど、抵抗させる場合、最低でもダブル配筋は180mmの幅が必要だから

「剛とすべきではない」ってことになる。

「ピン」で検討を行えば端部曲げの負担がなくなるから

「3辺固定スラブ」とする方がいいんだ。

でも、今回はちょっと問題があるんだ。

なんで!

3辺固定スラブでWB梁をピン扱いで検討したらいいさ!

問題になるのはWB梁の反対側、3辺固定となるY1通りの壁なんだ。

下の図のように固定の「剛」扱いなので、端部曲げが発生してしまう

そうすると、ここでも壁・梁ともに180mm以上の幅が必要になってしまう。

それだと要望に応えることができないのでダメだ。

じゃ、どーすんだよ

もとのY3通りの梁WBを180mm以上の梁として「剛」扱い

端部曲げを負担させるよ。

周囲の壁と段差がつくけど、内側の面を合わせるように

配置すれば問題はない。

屋外の段差部分は、建物側なので屋上を上っている人にしか見えないから

意匠上も問題ないよ。

なるほど。

だからハイルーフのWB梁は他の梁よりも大きくなっていたんだ!

もう一つ、教えて

スラブの構造計算書を見たら

固定条件が「4辺固定」と「3辺固定」、「一方向版」っていうのがあったんだけど

どう使い分けているの?

上の図面で

3辺固定と書いているスラブは、3方向は壁で構成されているけど

残りの一方向は開口部が長く耐力壁がなく梁で構成されているため

スラブの固定度が弱いから「3辺固定」としているんだ。

ん?

でも、一貫計算ソフトでは「床はすべて剛床として検討」しているんだよね?

それなのに二次部材で「3辺固定」=一方向はピン扱いっていうのは

不整合じゃないの?

たしかに不整合といえば不整合なんだけど・・・

ソフトは剛床でしか計算できないので

個別検討というこで、上のようにスラブを選んで検討しているんだ。

すべてのスラブを4辺固定スラブとすることはできるの?

たとえば、開口部が大きくてピン扱いのスラブでも、残った壁の部分で端部Mを負担できるなら4辺固定スラブとしてもいいかもしれないよ

つまり

開口部が大きくてスラブの一方向がピン扱いとなるスラブは

1、3辺固定として解析を行う

2、4辺固定として解析を行った上で、

  ピン扱いとなる壁がスラブの端部Mを負担できるか確認する。

の2通りになると思うよ。

じゃ、一方向にまったく壁がない場合は  

3辺固定スラブとしないといけないってことだ

開口部がある場合の応力の流れを見てみるよ👇

壁があると、スラブの端部Mとつり合うように

壁頂部にMが同じ大きさになる。

そして、地面まえMが伝達される。

開口部があるとこの流れが途中で途切れるので

端部Mを負担できないんだ。

だから、周囲の残った壁で端部Mを負担できるか割増しを行った上で

個別検討が必要になるんだ。

個別検討を行った上で、壁の縦筋が不足することもあるので

その場合はピッチを狭くするなどして鉄筋量を調整するよ

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