今日は突出し杭について教えて欲しい。
隣地と高低差がある場合に突出し杭の検討が必要になるよ
具体的には下のイラストのような場合
突出し杭の場合の注意点を教えて
意匠的にはないと思うけど
「統括する意匠屋として確認すべき」なのは
構造計算書が突出し杭の検討が行われているかは
確認できるようになった方がいいと思うよ!
じゃ、計算書の見方を教えて!
突出し杭に関係するのは
地震時の水平力だから
チェックする項目は
短期荷重の水平力になるよ!
👆ほんとだ
入力されているのが分かる
突出し杭と普通の杭で応力図はどう変化しているの?
比べて見てみたい!
突出し杭👇
杭頭の変位(y)1.52cm
杭頭M27.8kNm
せん断力Q 22.0kN
👇普通の杭
杭頭の変位(y)0.78cm
杭頭M 17.7kNm
せん断力Q 22.0kN
応力図がぜんぜん違う
ちゃんと突出し杭の検討が行われているのが分かる!
突出し杭の場合は
杭頭の変位と杭頭Mが大きくなっている!
突出し杭では、突出し部分の「水平地盤反力係数」が0になっている。
水平地盤反力係数は「地盤の硬さ」を示すものだったので・・・
突出し杭=周囲に杭頭を固定する地盤がない=地盤の硬さは0
っていうことなんだ!
なるほど。
突出し杭の場合は
「杭頭Mが大きくなる」ってことは
何に注意しないといけない?
例えばだけど、
杭頭Mと関連しえ
地中梁に「曲げ戻し」っていう力が発生するんだ。
どーゆうこと?
👇のイラストで地震によって
杭頭にM(曲げ)が発生するのは分かったよね?
この杭頭Mを放っておくと回転してしまうんだ!
でも、実際はこの杭頭Mによって回転しないように
ある部材が杭頭Mの回転を抑え込んでいるんだ!
どの部材だと思う?
たぶん
杭とつながっている地中梁?かな
そーだね
地中梁が杭頭Mの回転を抑える
この抑えることを
「曲げ戻し」って表現するよ。
イメージは👇の感じ
杭頭Mが反時計回りの力なら
地中梁には時計回りの「曲げ戻し」が発生する
曲げ戻しが発生することで
何に影響してくると思う?
杭頭Mの回転が発生したことで
地中梁に「曲げ戻し」っていう余計な力が発生しているから
地中梁の応力図が変わってきそう。
応力図が変わるってことは
地中梁の配筋や断面が大きくなるってこと!?
そういうこと!
👇はモデルの軸組図。おおざっぱだけど
このモデルは曲げ戻しを入力していない状態だよ
曲げ戻しを入力すると
こんな感じになる!
あれ?
応力が小さくなっている!
これでいいのか?
地震は左右から発生するから
両方向について検討しないといけないよ
👆のイラストでは、X方向「正」について
解説したからたまたま
応力図が小さくなっていたんだ。
安全側に両方向を検討して
安全側となる配筋にしないといけないよ!
まとめると
敷地条件で
「隣地との高低差があって、杭が突出しになる場合」は
杭頭Mが大きくなる=地中梁の曲げ戻しも大きくなる=地中梁の配筋or断面が大きくなる
ってことだ!
そうそう!
だから、申請が不必要な物件で
単純に杭の支持力ばかりに注意していていもダメなんだ!
杭の支持力は長期(常時)についての話しで
突出し杭には地震時の地中梁の曲げ戻しについても
考慮しないといけないよ!
やばかった!
申請不要な4号建物で
過去物件と同様な規模だから
同じような杭を施工したらいいと思っていたけど。
「隣地と高低差がある」場合や「突出し杭」になる場合は
ちゃんと検討が必要なんだね!
今日も勉強になりました。
ありがとー
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