O邸 振り返り

今回は大城邸の振り返りをしたいと思うよ

構造さん
構造さん

平面での注意点として、南側の擁壁の底板が建物の基礎と重なってしまいそうなことだ。

立面では、建物の東西でレベル差があるため、地中梁の梁成が異なるのが分かる

意匠さん
意匠さん

意匠として注意しておくこと

理解しておいた方がいいことってある?

南側の擁壁の底板が建物の基礎に干渉している。

建物と擁壁を別々で計画しようと思うと

なるべく擁壁には建物の重量をかけたくない=建物は地中梁だけ計画して基礎を設けない

っていう風に考えたんだけど、基礎がなくても建物の重量は地中を介して擁壁に伝わるのは明らかなので別の考えにしたんだ。

擁壁を建物と一体とする考えだよ。

これなら、擁壁も建物と一緒に動くから安定性が高くなる。

理想としては、意匠さんもこの「擁壁」を計画する際に

建物と縁を切るのか、一体型とするかなんとなくの検討をした上で

プランできるようになるといいかもしれないよ!

あと、東西でレベル差があるため、地中梁の梁成が700と2900の2種類になる。

そして、700と2900の梁の間には、このレベル差をなくすために「バットレス」が必要になるんだ。

バットレスは、梁のレベル差を解消するために計画する梁のことだよ。

このバットレスには基礎(=フーチング)は設けないよ

どーして、基礎を設けないの?

基礎を設けるとそこに軸力(重量)を負担させる考えになってしまう。

斜めの梁(バットレス部分)に軸力が上からかかってくる場合、

この軸力は梁成が深い方に逃げてしまうイメージは分かるよね?

あ~なるほど!

でも、基礎を設けないからと言って軸力が0になるわけじゃないよね?

どこに流れるの?

自分も詳しくは分かっていなんだけど・・・

部材の変位などに応じて分担されているようだよ。

バットレスを設けることでの注意点は

バットレスには基礎がない=「建物の重量を負担する基礎の長さが短くなる」ということ。

それに、梁のレベル差が大きいと、それを解消するバットレスの長さも長くなる

バットレスが長くなるっていうことは、もちろん基礎も短くなるよね。

※バットレスはの角度は、周囲の土が崩れないように45度以下が望ましい。

👆の青枠が梁成2900

赤枠が700だよ。

その間にバットレスを設けているよ。

ふむふむ、なるほど

でも、真ん中の緑色に塗られた梁はバットレスになっているの?

基礎設けられそうだけど・・・

そーだね、梁成2900のレベルから45度の線を引けば、基礎ありの梁でも計画できるんだけど・・・

実際、西側の梁が2900も下がっているから、施工上、がーッと一気に土を掘りだすはずなんだ・・・

一気に土を掘りだして、支持層の土を乱してしまうと、得られる支持力が分からなくなってしまうんだ。だから、施工上のことも考えてこの部分には基礎を設けない方がいいと判断したんだ。

なるほど!

基礎伏図を見るとバットレスが多いのが分かる。

その分、基礎が短くなっているのも分かる!

ということは、梁のレベル差が大きい案件では

基礎が短くなるってことだ!

そうそう!基礎が短くなるっていうことは

基礎の幅でカバーしないといけなくなるから・・

いつもの案件より、基礎幅が大きくなることをイメージして欲しい。

おっけー!

他にどんなことを構造さんは検討したの?

まず、S3とS4のスラブだけど

スラブレベルが下がっているため、応力のつり合いの検討が必要なんだ。

応力のつり合いの検討?

イラストのようなイメージだよ

段差スラブの間にある梁の「スターラップ(あばら筋)」が

応力Mを負担できるか確認しているんだ。

意匠さんが注意して欲しいのは・・・

この段差スラブ一枚の面積が大きいと端部の応力も大きくなって

スターラップが負担する応力も大きくなるっていうことだ!

もし、オーバーするようなら、まずは主筋のサイズアップを行ってそれでもダメなら梁幅を大きくするなどの対応をするよ。

※ピンクの梁がSTPを検討している箇所になるよ。

あとは、Y2通りのRG5なんだけど

スラブの負担面積が大きいため、梁が負担する応力も大きくなって梁幅が325mm必要になっている。

同じ軸Y2通りのRG6は、325mmの梁幅は必要ないんだけど・・・

施工上の理由から幅と鉄筋本数をRG5に合わせているよ

つまり

RG6はRG5の定着を確保するために梁幅を325mmにしているってことだね!

それは分かったんだけど、なんで、鉄筋本数まで合わせる必要があるの?

たしかに鉄筋本数は合わせる必要はない!と思うけど・・・

実際、施工する人たちが梁の部材リストを見たとき、

RG5の定着はどうとるだろうか?

構造屋が想定しているように、軸線上の直線で定着確保してくれるかな?

もしかしたら、梁を曲げ下げて定着を確保するかもしれない・・・

この、RG5とRG6は一体とすることで応力を伝達させたいんだ。

応力伝達のために鉄筋で伝達させないといけない。

だから、鉄筋の本数も合わせているんだ。

あと、南側の擁壁(W30)を支持している、FB1には

埋め戻しの曲げが発生するから、この曲げに対する梁断面の検討も行っているよ。

これは特に意匠さんが考える必要はないかな・・

ただし、この曲げが大きいとFB1の梁断面が大きくなることはあるよ。

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