今回は確認申請が下りた後の物件で、地中梁の梁せいが大きくなる場合について振り返るよ。
なぜ申請後に地中梁が大きくなったの?
現場ミスで床掘の深さを間違えたんだ。
質問だけど
地中梁の梁せいが大きくなる場合、どういうことが考えられる?
梁せいが大きくなる=重量UPだから
接地圧の再検討が必要なんじゃない?
そうそう接地圧の検討は当然必要だけど他にも検討することがあるよ。
本物件は布基礎なので重量がUPすると、地反力もUPするよ。
地反力が大きくなるということは、ベース筋の検討が必要になる。
いくら地盤の支持力が強くてもベース筋の検討は別物だから注意が必要だよ。
なるほど!
ほかには影響ないの?
梁せいが大きくなるってことは、応力に変化はないの?
応力にも変化がでてくるよ。
梁せいUP=構造階高が大きくなるってことだ。
そして構造階高UP=壁柱に伝わる応力も大きくなる=壁柱のMと釣り合う梁の応力も大きくなるよ。
他にも地中梁の断面が大きくなるので剛比変化によってMの負担率が変わってくる。
当然だけど、地中梁の負担率が大きくなる。
下の1つ目のイラストで構造階高について描いている
2つ目のイラストは地中梁の梁せいが大きくなって構造階高も大きくなっているのを示しているよ。
なるほど!
この梁せいUPによる構造階高の件は、軽微変更では対応できなかったの?
最初は甘く考えていて、地盤もベース筋も問題ないから軽微で行けるだろうと考えていたんだ。だけど、審査機関に軽微で提出すると構造階高が大きくなることについて、軽微となる合理的な判断を求められたんだ。
そして、一貫計算ソフトを回さずに説明を考えたんだけど、どうにも整合性がとれなくて十分な説明ができなかったんだ。それで仕方なく計画変更で対応したよ。
実際に考えたこと↓
地梁の梁成増加に伴い構造階高が大きくなり、曲げの壁脚及び壁頭の負担率が増加。
また、剛性増加による剛比変化によって曲げの壁脚の負担率は増加、壁頭の負担率は減少する。
構造階高について(h1=変更前 h2=変更後)
h1=3775mm h2=4175mm 1.1倍の増加
剛比変化について 標準梁せいが800増加
変更前 I=5.12
変更後 I=41.03
比率 8倍
許容曲げの確認(M=at ft jより)
比率 2倍
つまり梁せいUPで許容Mは2倍増加にくらべて、応力増加分が1.1×8=8.8倍で
許容曲げを大きく上回ってNGとなってしまった。
ええ!?
それって大丈夫なので?
実際は、変更部分を一貫計算ソフトに入力して確認を行っているから問題がないことはわかっているんだ。ではソフトを使わずに手計算で上記のように許容値と応力増加分を確認すると、ソフトの結果と大きく異なることがわかった。
この違いはどうして起きるの?
正確には分からないだけど
ソフトで立体解析という方法で構造計算を行っていることが原因だと思う。
手計算で可能なのは平面解析だけど、コンピュータを用いれば複雑は立体解析というのができる。この解析方法の違いによるものだと思う。
なるほど。
ということは、既存地盤の支持力が十分に大きい場合でも
安易に地中梁せいが大きくなっても問題ないとはならないんだね。
そうだね
基本的には「計画変更」として対応することになる。
再検討忘れが無いように、布基礎のベース筋の検討や個別検討の重量の更新は注意したい。
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