今回は土圧を受ける壁と地中梁について振り返るよ
どういうケースになるか教えて
今回の例は部分地下の外壁で一層分の土圧を受ける。
こんな感じだよ。
まずは外壁、次に地中梁の検討を行うよ。
土圧を受ける外壁は最低でも複配筋としたいので厚みは200以上欲しい。
また、外壁の大きさによって周辺の固定条件が固定かピンかで分かれる。
大きい外壁はピン、小さい外壁は固定で検討ができる。
ピンと固定でなにが変わるの?
固定条件を変えることで、MとQが異なるよ。
比べてみてみよう。
固定条件を変えるとMとQの値が違うね
固定の場合は、端部のMを「ねじれ」として検討する。
壁が地中梁と接続する箇所で、雑巾を絞るようにねじれ(M)が発生するからだ。
ねじれで有効な調整方法は断面と主筋になる。
上のケースでは3m×3mの壁で検討しているけど、これよりも大きなサイズになると
当然、Mが大きくなってねじれも大きなる。
つまり、固定の場合で大きな土圧を受ける壁を支持する地中梁はねじれに対して必要な断面を確保するために、断面サイズが大きくなることがある。
意匠としては、土圧の大小によって地中梁が大きくなる可能性があることを把握して欲しい。
ピンの場合は、端部のMが0となって、Qの値が大きくなる。
Qはせん断力=横からの力=等分布荷重として捉え直して考える。
ふつう、地中梁に発生する力は鉛直方向の「上から下への力」になる。=面内方向
だけど、今回は外壁に下部にQが発生している。
外壁と接続している地中梁にも当然、横からの力が発生してくる。
つまり、面外方向の検討が必要になる。
梁を90度倒して検討をすることになる。
この時、有効な鉄筋は、端部の主筋と中間部の腹筋になる。
面外方向の検討時はこの腹筋が主筋と同等扱いになる。
よって間違っても間引いたりしてはいけない。
なるほど
結局、固定とピンのどちらで設計した方が経済的なの?
それを教えてよ。
どちらが経済的かは場合による。
固定条件であったとしても、地梁のスパンが長ければ当然ねじれが大きくなる。
ねじれが大きい=断面が大きくなる。
じゃ、スパンを小さくするために中間に梁を入れたらいいじゃないかとなるが、
ねじれを小さくするために中間に梁を計画するとそれはそれでコンクリの数量が増える。
また、スラブが横幅と縦幅の辺長比に偏りがある(幅1に対して高さ2とか)ある場合は、固定を使うことが適切と言えなくなる。その時はピンで解析を行ったりする。
ピン条件の場合は、せっき説明したように面外の検討を行う。
面外の検討で「主筋の有効せい=梁幅」となるので、土圧を受けるために梁幅がかなり大きくなることがある。
よって、どちらが経済的かは場合によるんだ。
なるほど!
地梁のスパンが短くて辺長比も大きくなければ、固定の方が経済的な感じがする。
それ以外の場合は、総合的に判断する必要がありそうだね。
そういう理解で大体いいと思うよ。
あとは、「ピン」の場合、基礎が直接基礎か杭基礎かでも考え方が変わってくるので説明するね。
ピンの場合は、面外方向の検討を行うんだけど、勤務先の会社では布基礎などの直接基礎の場合、面外方向のQに対して基礎の摩擦が有効に抵抗するので、面外方向の検討は不要と判断しているよ。
一方で、杭基礎の場合は、地中梁が乗っかっている土が軟弱で下がる可能性があるため杭を使用しているので、基礎の摩擦には期待できないと考えている。よってさっき説明したような面外の検討が必要になる。
まとめると
杭基礎でピンの場合は、面外の検討によって断面がと主筋が多くなるけど、
布基礎の場合は、面外方向の力Qに対して基礎の摩擦が有効に効いてくるってことだから
ピンで解析をしておけば、断面に影響されないってこと?
そうそう。
でも、基礎の摩擦で抵抗できる力にも限りがあると思うので
面外力Qがあまりにも大きいときは注意が必要なる。
基礎の摩擦力=重量(その支点での軸力)×摩擦係数
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